「萌えてはいけない。」に参加してきました

http://www.dhw.co.jp/gs/works05/moeteha/
秋葉原ダイビル7Fのデジタルハリウッド大学キャンパスにて上記のイベントがあり、このニュースを見た瞬間速攻で申し込み、今日参加してきました。
 
後に衛星放送やDVD化まで考えてるらしいので、そちらを見たいという方はネタバレになりますので注意。
 
 
出演者は観客側に向くようにテーブルをはさんで座っていました。
左から順に、笹峯あい大月隆寛岡田斗司夫夏目房之介いしかわじゅん富野由悠季、杉山知之(大学・大学院 学長)
ということで、スペシャルゲストは富野御大〜。
なんでも、大月さんが一度対談したことがある縁で、今回のイベントに来てもらえるよう依頼したとのこと。
 
録音はアウトなので、ノートPCでメモした内容を元に色々おこしてみます。
書式は会話調になったり箇条書きになったりバラバラなのでご勘弁を。
あと、勘違いしてメモしてることもあるかも。
 
(ここに追記)
既にわかりやすくまとめている方のはてなダイアリーがありましたので、読みやすい文章をみたい方は以下のリンクへどうぞ。
http://d.hatena.ne.jp/seishinouya/20051123
 
(さらに追記)
他の方のblogなどを読んで、自分が勘違いをしていたり、入れたほうが良さそうな発言があったら随時入れていきます。
 
(さらにさらに追記)
ここの内容は正確に記録されたものではありません。
発言を取り違えていたり、言ってもいないことを記述してる可能性があります。
正確な情報がほしい方は、GyaOでの放映やDVD化をお待ちください。
 
−(ここから)−
 
まずは各人挨拶。
大月さん、笹峯さんに「秋葉原の人たちどうだった?」と投げる。
笹峯さん「見なかった。」
夏目先生、この日のために電撃大王を読んできました(笑)
いしかわさん、いきなり呼ばれてスケジュールではまだ沖縄にいる予定が飛行機キャンセルで今日来た。
出演料は飛行機キャンセル料でチャラとか。
富野監督、秋葉原には10年ぶりとか(RBB TODAYを見ると40年となってた:筆)
 
挨拶後、まずは携帯電話によるアンケート(システムまで用意してたのに結局アンケートはこの1回だけ)
 
『「うる星やつら」は萌え作品だと思いますか?』
 
流れでトーク開始。
 
【富野監督】
うる星やつら」は新しい世代の敵を感じた
萌えとか萌えじゃないとか生やさしいものではない
漫画もアニメも両方とも
新しいビジネスフィールドを生んだ作品
 
【岡田さん】
うる星やつら」は美少女モノ
ありとあらゆるラムちゃんを見てきた
あらゆる年齢、あらゆる体型、あらゆる性別(笑)
最近は「あらゆる人種」
世代による漫画・アニメキャラの表現の違い
・40代より上はそっくりに書くのが当たり前
・それより下はアレンジ加えないとファンじゃないかのように
海外の人たち(特にコスプレ)はそっくりまねる
・まだ日本の40代と同じ傾向
 
【いしかわさん】
マンガ夜話でもFAXが似てない
似てるものを書くつもりがないのが面白い
 
【岡田さん】
コスプレでタイで黒人のラムちゃんとかは記憶に残る
でも、完璧なエメラルダスとかは記憶に残らない
フランス人でオスカルが体型そっくり(金髪なのに黄色のかつらまでかぶって)
完璧なものは「あー。」で終わってしまう
 
【大月さん振り→富野監督】
・うる星について
うる星インパクトがあった
このインパクトを乗り越えるものはまだ出てきてない
現在はコピー生産
あと4、5年でコスプレ文化などに飽きてきたら、次のインパクトが来るでしょう
それが東京からであってほしい
ただ次世代は3D系ではない
もうちょっと(作品は)上等に作れるのではないか
 
【夏目さん】
我々の世代はまず漫画があって、それからアニメ
漫画がアニメ化されると(別物で)ガッカリ
アニメと漫画を架橋するものがキャラクター
漫画・アニメ・ゲーム・インターネットと出てきて、作り手との距離が小さくなっている
うる星は共同的な製作の感じ
 
【???】
作り手と受け手の関係
今までは作り手側の(子供たちへの)責任などがあり、窮屈な部分もあった
それがうる星から崩れてきた(表現したいことを表現する)
アニメが増えて管理ができなくなった
若い作り手が(色んな意味で)暴走してきた
昔、漫画でSFを書くと怒られた(子供に悪影響?)
「子供たちのために」が消えていく
 
【大月さん振り→いしかわさん】
・いしかわさんは子供のためにと意識して漫画描いていた?
そんなこと考えてたわけない
俺は(はじめて?)エロから一般に来た初期の人間
価値観がすでに違っていた
 
【富野監督】
公共媒体(TV)によるメジャーとマイナー
この礼儀正しさを持った表現がいる(??よくわかりませんでした:筆)
 
【いしかわさん】
アニメでの高橋留美子はすごい影響
でも漫画ではそうでもない
面白い漫画家のうちのひとり
 
【岡田さん】
(うる星で)主題歌・声優などいろいろなものがビジネスになると気づきはじめた
 
【夏目さん】
女性(高橋留美子)が青年誌に漫画を描いていた
かわいい女の子を描く
マーケティング的には素晴らしい
 
【富野監督】
女性からああいった作品を出されて嫉妬感が
 
【岡田さん】
萌えは男女で違う
女性のやおい系萌えは関係に萌える(斉藤環の言う位相差に萌える)
 
(ここで先ほどのアンケート結果)
(YES(萌え作品だと思う)39% NO(萌え作品だと思わない)61%)
 
【岡田さん】
「萌え」という言葉で共有しているものが違う
「タッチ」で同じ質問しても同じような結果かそれ以上
だけど「セラムン」や「CCさくら」でやると9割はYESだろう
 
【大月さん】
俺はセラムンまで、それ以降は萌え作品は受け付けない
 
【岡田さん】
ある人は萌え、ある人は萌えないというものが当然ある
オタクは体の中に「萌えエンジン」を積んでいる
萌えレシオでちょうどいいものが人によって違う
セラムンCCさくらは6000〜12000(合う人が多い)
デジキャラットまでくると24000くらい(空回りする人が出だす)
デジキャラットは)作り手が見えすぎてダメという人が結構いたりする
逆に作り手が見えすぎなら見えすぎなほどOKの人もいる
あと「萌えちんちん」
水着あたりからピクッと来る
けれども、ヘアヌードあたりまで来ると、OKの人もいればNGの人もいる
あざといから嫌だという人もいるが、とことんあざとさが出てるほうがいいという人もいる
あざとくいくなら「小倉優子」くらいのあざとさで
そういう人は逆に中途半端なぶりっ子がダメだったり
俺も萌えちんちんを持ってるが仮性包茎
 
【大月さん】
俺はカントン包茎だな
(岡田さんの暴走の流れで)
しかし、今日の参加者は女性が少ないね
(女性参加者に手をあげてもらう)
200人中1桁くらいだね
 
【岡田さん】
「萌え」を語るのに男女によって全然違う
この場では男性による「萌え」で進めさせてもらう
 
【???】
「萌え」は芝居やロックなどのように俺ならわかる的なところがある
 
【岡田さん】
萌え系を読んで楽しんでる男性は実は心が少女
萌えられる萌えられないは決められない
CCさくらでもダメな人はダメ
フィギュア(3D)でやっと萌えられる人もいる
萌えはこれだと決め付けるのは、土人*1の文化を社会人類学者が語るようなもの
萌えはSFにおけるセンスオブワンダー*2
作り手側が(萌え表現を)意識してないことがおおい
美少女モノにおける萌え
受け手がセンスオブワンダーを発揮して美少女モノのなかから萌えを探し出していった
この「萌え論争」は20年前のSF論争のよう
これからの漫画はすべてSFになっていく論があった
今、SF漫画がなくなった
HUNTER×HUNTERは本来SF漫画に分類されるが、今は「普通の漫画」と言われる
萌えも漫画に浸透していく
萌えは普通の漫画に入っていく
20年前のSF論争がなぜ起こったのか、今の人にはわからない
同じように今の萌え論争は20年後の人にはわからないだろう
 
【???】
萌えは自由度が高い
クリエイティビティが低くても
 
【夏目さん】
萌えとセンスオブワンダーは違うのでは
センスオブワンダーはスピリットであり、作り手の本質が出ている
萌えは受け手のあり方であり、作り手の本質を語ってない
 
【岡田さん】
センスオブワンダーは受け手側から出てきたものですよ
 
【???】
変化はネット
受け取る・作るが近接
萌えというのはコミケ・オタク系
つまり、作り手・受け手の差がないとこから生まれた
 
(この辺りからメモよりも話に集中しだしたので、誰の会話かあやふや)
 
【夏目さん】
萌えを語る意味は?
現在「萌え」という言葉がある必然性
「萌え」の氾濫、コピー
ベンヤミンのいうアウラがない
ベンヤミンはないといったけど、(複製に)アウラ*3は確実にある
(夏目さんが自身のblogで間違いを指摘されてました)
(不正確な情報になってしまいすみませんでした)
しかし、なぜ「萌え」を語るオタクは自虐的になるのか
 
【岡田さん】
SFマニアは昔は自虐的だった
これは日本人が持つ特性でしょう
 
【富野監督】
日本人だけの問題じゃないでしょう(色っぽい目で岡田さんを見ながら)
 
【富野監督(?)】
自分しか感じてないという感覚がある
(他人はどうせわかってくれない)
 
【岡田さん】
「萌え」はカミングアウトであり、仲間探しである
「萌え」がネットによって発達した理由
これは「萌え」と言ってついていけるか、ついていけないかで仲間になれるか、仲間はずれになるか
昔は萌えじゃなくて美少女
マガジン・サンデーのグラビアが途中から女の子
 
【大月さん】
昔は、野球選手や相撲取り(朝潮)とかが表紙
今、朝青龍が表紙になることはないね(笑)
 
【岡田さん】
ある段階から漫画雑誌はかわいい女の子を捜すようになった(80年代)
これがアニメにも波及
健全な男は女の子を語らない世代(35歳以上?)
漫画にも女の子がまったく出てこないし、女の子のことを語る男はなさけない
今は世の中に女の子というすばらしいものがあって、人生を賭ける価値あるものという意識がある
女の子を見るために漫画雑誌を買っている部分がある
漫画における恋愛要素の底上げ
これを読んで育った世代は恋愛至上主義
これは不幸なことである
 
【いしかわさん】
漫画雑誌の表紙が女の子になってきたころ、作家皆でなんでだろうと不思議がった
編集に聞いたら、売り上げが違うと
2、3万部は上がる(1割増)
 
【岡田さん】
土人の側からこちら(「萌え」が理解できない人向け)にわかる・伝わる言葉がない
今まで作り手は萌えを意識しなかったが、だんだんと作り手が意識するようになってきた
テニスの王子様やおいを意識して作られた漫画
 
【いしかわさん】
テニスの王子様は)使いやすくなってるよね(会場大爆笑)
 
【岡田さん】
萌えキャラはアイドルと似ている
昔のアイドルはアイドルという自覚なし
次にアイドルであることを意識したアイドルの出現
そしてアイドルに憧れる子たちがアイドルになる時代
(最後は萌え作品で育つクリエイターが出てくるということ?:筆)
 
【夏目さん】
この手法を見ると、つんくCLAMPは似ていると思う
(いまいち良くわからなかった:筆)
 
【富野監督】
受け手の反射神経が早い
現象が出たときはすでに受け手は見ていない(時代遅れ)
作り手側はこねくりまわす(ビジネスにしたがる)のみ
土人出身のクリエイターは能力がない
コピーを作る
独自の萌えを持ってる人がいない
 
【岡田さん】
作品を作るのに熱量が必要ない、作品の消費も熱量が必要ない
作品が底辺にまで拡がっている
たとえば歌謡曲でいう歌姫
極一部の限られた能力を持ち、さらに運がかみあってはじめて一握りの歌い手になれる
それがカラオケが流行りだし、一般の人が歌える歌いやすい歌がもてはやされる
この現象を音楽業界の衰退と捉えるのか
どちらとも言い難い
 
【大月さん】
底辺が拡がるのはいいが、残るものは何?
歴史に残せる作品は生まれてくるの?
 
【岡田さん】
そういうもの(歴史的作品)しか残せないという考えは特権思想
底辺がひろがればピラミッドも活性、頂点が出てくる
 
【大月さん(?)】
萌えはオタク向け
1つのキャラクターでいろいろビジネスが出来る
で、その先で何があるの?
 
【岡田さん】
同人誌・BL・やおいから(ピラミッドの頂点に近いクリエイターが)出てくる
よしながふみなどは優れている
作品の全体レベルは(ピラミッド的になると)減少するが
 
【大月さん】
豊かさは酷だね
漫画は安くてレベルが高い
 
【「夏目の萌え」】(マンガ夜話「夏目の目」の「萌えてはいけない。」バージョン)
 
・キャラに萌える
キャラが自立性、これが特異性を持ってきたのが萌え
めがね→委員長 ジャンル的自己言及性
 
<題材:あずまんが大王1巻P154「おにゅー」>
ちよちゃんの髪がとりはずし可能
本来、髪は1本1本あるものだが、あの結い髪が記号化している
大阪の夢、あの(髪が取り外せる)夢を見ているということは大阪というキャラクター自身が漫画を意識している
(例えば自分の知り合いの結い髪が取れる夢を見る可能性はあるか?:筆)
(結い髪を記号と捉えていないと無理:筆)
(漫画の中のキャラクターが漫画を意識している:筆)
萌え的想像力はこういうところ
 
<題材:電撃大王今月号>(電撃大王自体買っていないので良くわかりません:筆)
髪は萌えの主要ファクター
髪によってキャラクターを書き分けないといけなくなってる
あつがみを入れないと再現不可能な髪(記号)(マブラブの御剣(?))
立体で考えている
 
・紅潮による心理表現
萌え好きはピュアなものが好き
 
・半透過性の髪
髪に隠れている輪郭線や眉毛が描かれている
立体では再現が難しい
要素は特異化していく
様式化
様式そのものを遊ぶ
 
・曲線のかわいさ
女性と男の子を表現する記号
 
・言葉の特徴
ずっこけて「るまっ!?」
一生懸命考えたんでしょうね
 
<題材:あずまんが大王1巻PP084-085「イルカで行こう」「いつ分岐?」>
(「イルカで行こう」には)オチがない、2つ揃ってオチがつく
キャラクターを共有しないと楽しめない
つまり、榊は動物好き、大阪はボケということがわかって、初めて楽しめるようになっている
ぼーっとしてる大阪が考えてることは読者にまかせてる
(大阪が何を考えているかは)作者も考えていない
読者の読み方は自由ですよと想像性を残す
こういったことをわざとできる作者の力量
キャラクターによってコマの外を埋める手法
キャラクターが重要な「萌え」と四コマ漫画は相性が良い
 
<題材:再び電撃大王今月号>
レイヤー構造を持った半透明コマ(少女マンガ的)
伊藤剛さん曰く「異なる次元の画面を持ってる」
コマというレベルと紙面というレベル
紙面とコマの二重性
 
・萌えは不確定性
映画的リアリズムとは相容れない
萌えは浮いた存在
 
・つぎの段階はあるのか(すぐれた作品がでるかどうかも含めて)
「開く」という段階に来ないといけない
 
−(ここで中間)−
 
さすがに眠たいので、明日にでも続きを書きます。
http://d.hatena.ne.jp/asedaruma/20051124/p2 に続く)

*1:そこに息づいている人々。学者がその文化を語ろうとしても、所詮土人でない人には解り得ない。出演者の方々は自分達は「萌え」の土人の外側であるという認識

*2:美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目を見はる感性のこと。SF作品には必須の要素であるとの考えがある

*3:自然の持つ神々の力。得体の知れない不気味な力。オーラ。芸術家などはこういったアウラを感じ取り、それを表現した。その表現にはアウラが存在する。しかし、その作品を模倣してもアウラまではコピーできないとベンヤミンは唱えている