すべてがFになる/森博嗣/(ASIN:4061819011)

たまには漫画以外のものでもレビューしますか。
 
この作品は森博嗣さんの犀川&萌絵(S&M)シリーズと呼ばれるものの第1作目になります。
ジャンルとしてはミステリーになるんでしょうが、そういうことにあまりこだわらずに読める本だと思います。
また、理系ミステリーとも呼ばれてますが、理系でないと解らないってこともないと思います。
 
とりあえず私が感じたことですが、頭が切れる人間の思考に痺れました。
冒頭の真賀田四季西之園萌絵の会話や、所々に出てくる犀川創平の思考(センス)など、ひとつひとつに唸らされます。
おそらくS&Mシリーズを読んでいる方は、ミステリー的な読み方よりも、キャラクターの個性を楽しみに読む人が多いのではないでしょうか。
 
しかし、この作品のミステリー部分は衝撃的です。
私がミステリーを読むときはやはり謎解きをしながら読むほうで、この作品も途中までは推理できましたが、最後の方は完全に度肝を抜かされました。
1996年の作品ということで、作品中に出てくるコンピュータなどの用語も少し古く感じられますが、この作品を読んだことがない人は、いままで受けたことのない衝撃を受けるのではないでしょうか。
 
新鮮な衝撃を受けたいと思われる方は、ぜひ読んでみてはいかがでしょうか。
 
最後にいくつか私が思う名文を残しておきます。

  • 人と人が触れ合うような機会は、贅沢品です。エネルギー的な問題から、きっと、そうならざるをえないのよ。人類の将来に残されているエネルギーは非常に限られていますからね。人間も電子の世界に入らざるをえません。地球環境を守りたいのなら、人は移動すべきではありません
  • Time is money. なんて言葉があるが、それは、時間を甘く見た言い方である。金よりも時間の方が何千倍も貴重だし、時間の価値は、つまり生命に限りなく等しいのである
  • 自然を見て美しいなと思うこと自体が、不自然なんだよね。汚れた生活をしている証拠だ
  • プログラムに潜んでいるミス……、そう、バグかもしれない。神の作ったプログラムのバグこそ、人類と言える